原因不明?虫歯以外で歯の痛みが出る理由と対処法を解説
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歯の痛みは、虫歯だけが原因となるわけではありません。歯ぐきや歯ぎしり、かみ合わせに異常がある他、口以外に歯の痛みを生じさせる原因があることも考えられます。今回はそんな虫歯以外で考えられる歯の痛みの原因について、わかりやすく解説します。
歯ぐきが原因の痛みと対処法
歯周病が原因
歯周病になると、歯ぐきにさまざまな症状が現れます。その中のひとつに歯の痛みも含まれているのです。歯周病は細菌感染症の一種で、歯ぐきに炎症反応をもたらします。重症化すると顎の骨にまで炎症が広がり、歯がグラグラ動く、歯ぐきから膿が出る、かんだ時に痛みが生じる、といった症状に悩まされるようになります。これらはあくまで歯を支えている組織や神経が痛いのであって、歯そのものに症状が現れるわけではありません。けれどもそれを「歯の痛み」として錯覚してしまうことは珍しくないのです。
【対処法】
歯周病による歯の痛みは、歯周病を治さなければ改善できません。歯周病菌の温床となる歯垢・歯石をクリーニングやスケーリング(歯石除去)で取り除きます。歯ぐきからたくさんの膿が出ている場合は、局所的に抗菌薬を使うこともあります。同時に、患者様が正しい口腔ケアを行えるよう、ブラッシング指導も実施します。ただ、歯の痛みが出るような歯周病は、かなり進行していることが予想されるため、前述した「歯周基本治療」を行った後に、「歯周外科治療」へと移行するケースも多々あります。いずれにせよ歯の痛みが生じるまで歯周病を放置することは避けるようにしてください。
歯ぎしりやかみ合わせが原因の痛みと対処法
歯ぎしり・かみ合わせの異常が原因
歯ぎしりや食いしばりの習慣があったり、かみ合わせの異常が存在していたりすることで歯が痛いと感じる場合があります。これは歯に対して極端に強い力が加わるためです。例えば、睡眠中に起こる歯ぎしりは、男性の場合で60~100kgの力が歯や歯ぐきにかかると言われています。歯ぎしりが起こる時は食品などが歯と歯の間に介在しておらず、自分の体重と同じくらいの力が歯に直接、加わってしまうのです。その結果、歯や歯ぐきに炎症や痛みが生じます。また歯列全体の中で、かみ合わせが部分的に高くなっていたりする場合も歯や歯ぐきに過剰な力が加わって痛みをもたらすことがあります。悪いかみ合わせは、歯ぎしりを誘発する点にも注意が必要です。
【対処法】
歯ぎしりの主な原因は、ストレスや歯並び、かみ合わせの異常です。普段からストレスをため込んでいる人は、趣味などの時間を作って上手にストレスを発散できるようにしましょう。悪い歯並びは歯列矯正、ちょっとしたかみ合わせの異常は、咬合調整(こうごうちょうせい)で改善することが可能です。その他、歯科医院では眠っている時にマウスピースを装着する「スプリント療法」で歯ぎしりを治療することもあります。
口の中以外が原因の痛みと対処法
歯の痛みは、必ずしもお口の中だけに原因があるわけではありません。お口の周りや遠く離れた組織の異常が原因で、歯痛が生じることもあるのです。
筋肉が原因の歯の痛み
歯ぎしりをすると、かむ時の筋肉を酷使することになるため、お口周りで筋肉痛が生じます。それを奥歯の痛みとして捉えてしまうことは珍しくありません。そうした筋肉痛は、歯並び・かみ合わせが悪く、左右どちらかだけでかむ癖がある場合にも生じやすいです。
【対処法】
根本的な原因となっている歯ぎしりやかみ合わせを改善することはもちろん、酷使した筋肉を温湿布やマッサージでほぐすことでも歯の痛みは軽減されます。
神経が原因の歯の痛み
顔の周りに分布している神経がウイルス感染などによって傷つくことで、歯の痛みが生じる場合もあります。専門的には三叉神経痛(さんさしんけいつう)と呼ばれるもので、鼻の脇や上顎の犬歯、下顎の奥歯あたりの皮膚を触れた際に、電気が走ったような痛みが生じます。一般的な虫歯による痛みとは明らかに異なるものなので、比較的判別しやすいことでしょう。
【対処法】
三叉神経痛は、帯状疱疹やウイルス感染症が原因で生じる症状なので、歯科医院で治すことはできません。ペインクリニックなど専門の医療機関を受診して、適切な治療を受けましょう。
その他の原因について
その他にも頭痛や歯の炎症、心臓病、精神疾患などによっても歯の痛みが誘発されることがあります。かなり幅が広いことに驚かれる方もいらっしゃるかと思いますが、そもそも歯の痛みの原因というのは特定が難しいものなのです。